雨がやまない 






額の傷は、消えるはずが無かった。



頭上から振り下ろされた白刃にも似たような拳は、的確に額を割った。



鉢がねを当てていたのだが、そんなことは関係無かった。


視界が眩み、紅に染まる。


もう、だめだ、と本能で悟ってしまった。


目の前で泣いている千鶴を慰めることさえできない。

泣かせたくなんかない。でも、俺のために泣いてくれる千鶴が愛おしかったし、くすぐったくもあった。




死にかけている、というのになんて呑気なのだろう。


新撰組の存在意義とか、皆一つの志、なんてものは正直、ぴんとこない。



それでも、千鶴を守ってやりたいと思えた。




生きたい、と思えた。




今まで切り捨ててきた屍の重さを初めて悟った。



生に対する執着、誰にでもあるものを踏み躙って歩いてきた。




時代がどう動いているのか、わからない。


なにが変わり、何が廃されるのか。





新撰組は、どうなるのか。






喉を伝う赤い液体が、やけに熱く思えた。





fin.


携帯サイトからの移動ssです。
薄桜鬼って平助落胤設定でしたっけ??^^;

短編だったらほいほいかけるんだけどなぁ……




inserted by FC2 system