僕を、見て。 

「千鶴ちゃん」


十一月。もうあたりはすっかり雪に覆われている。
屯所の広間で一人、繕い物をしていた彼女の背中に呼びかけると、
その小さな肩が大きくはねた。そしておそるおそるこちらを振り向く。

「……何、怖いものでも見るような目をして」

沖田はふふ、と笑いかけた。
その笑みを見て、顔をわずかに伏せて、ぎこちなく彼女も笑いかえした。

実際に僕のことが怖いんだろうな。
彼女の顔には思っていること全てが現れるからすぐにわかる。


心あたり?
そんなもの、数え切れないほど。



今思えば、初見からお世辞にもあまり良い出会いとは言えない物だった。
見られてはならないところを易々と目撃され、君を斬る、と何度も脅してきた。
全ては新選組のため。
その言葉に偽りなど、ない。

しかし、仕方ないとはいえ、沖田を避けている彼女の態度にも苛立っていた。

現にいま、こうして新選組の幹部達が出計らって、僕と君しか居ないことに
怯えてるじゃないか。

あぁ、くそ、苛々する。


なぜただの小娘に避けられているだけでこんなにも自分が苛立っているのか何度も
考えては見たが、正直なところ、それは沖田自身にも分からなかった。

じっと千鶴を見つめながら考え込んでいた沖田におずおずと不思議そうに
話しかけてきた。

「あの、どうかされましたか?」

声音からも沖田の予想が正しいことがはっきりと読み取れた。
遠慮がちに見上げる大きな瞳に不安の色があることは確かで。
沖田の中に何かどす黒い感情がわき上がってくる。

いつもどおりに自分の感情に笑顔という名のフタをして、努めて明るい声を出した。

「千鶴ちゃんが寒がってないかな――って思って。今の季節、早く寝ないと
風邪引いちゃうよ」
「、、私なら、大丈夫ですよ」

沖田に優しくされたことが嬉しいのか、瞳の奥に透けて見えていた色は
ほんの少し、薄くなった。
しかし、薄くなっただけ。

千鶴は沖田に顔を向けている。しかし、向いているだけ。

土方さんや、一君や、左之さんや、平助や、永倉さんや、山崎さんや、島田さんや、
そして近藤さん。
誰とだって話をするときは自分から近づいていく千鶴。
それを嬉しそうに迎え入れて親しげに話をする相手。
そして、その光景を幾度と無く見ていた僕。

沖田と話しているのに足を動かさず、その場をやり過ごそうとしているようにしか
見えない千鶴。
そして、なぜか近づけない僕。

この距離は一体、何?


2人の間のほんの何メートルが果てしなく遠のいて見える。
もう、だんだんと生まれいでた黒い感情は沖田の手に負えない物へとなっていく。
自然と笑顔がボロボロと剥がれていくのが止まらない。

千鶴もそんな空気を感じ取ったのか、不安の色が濃くなって再び瞳へと戻ってくる。

「お、沖田さん…?」
様々な気持ちを含んだ言葉が千鶴の口から漏れた。

――――――――もう、我慢できない。


そんなに僕が怖いか。何故、僕を苛立たせる?
そんなに、―――……僕が、嫌いか。


沖田は唐突に千鶴に近づき、その細い手首に力を込めて無理矢理立ち上がらせた。
あまりにいきなりのことで声も出ず、顔を引きつらせている千鶴にかまわず
ひきずって連れて行く。

――――――――行き先は、広間の隣の小さな部屋。


もうずっと使われていないその部屋の扉を力任せにこじ開け、中に千鶴を投げ入れる。
非力な彼女は必死に逃げ出そうと沖田を押し返すが、それは当然意味を為さなかった。

「男に力で勝てるとでも思ってるの?」

沖田自身も驚くほどの冷えた声が喉から口をついて出てきた。

僕は今、どんな恐ろしい顔をしているのだろう。
きっと―――――……千鶴は二度と僕に笑いかけてなどくれないだろう。



沖田の纏う空気に呼応するように冷え切った小さな部屋。
もうしばらく主の居ない部屋は人の温かみなど、感じない。

恐怖のあまり、口をぽかんと開けたままの千鶴。
その小さな肩に力を込めて押し倒す。

「お、沖田さ―――……」


そんな、避難の言葉など、認めない。

震えた言葉を遮るように千鶴の唇に沖田は自身の物を押しつけた。
いままで埋め尽くされていた黒く、禍々しい感情に甘い感情が入り交じる。
呼吸をしようと頭をずらそうとする千鶴を力で無理矢理押さえつけ、
わずかに開いた唇の隙間を縫って舌を滑り込ませる。

「…んっ!……っ、んむっ」

必死に沖田の追撃から逃れようとする千鶴の舌を素早く絡め取る。
味わい、貪り、壊すように、余すところ無く。

だんだんと千鶴の顔が酸素を求めて青ざめていくのを見計らって、一度唇を離す。

「……っはぁっ、…はぁっ」


荒い呼吸で空気を取り入れたことを確かめると、間髪入れずに再び口を塞いだ。

そして何度も何度も角度を変えて、もう何回千鶴の口の中を暴れ回ったか
数え切れなくなった頃。

「どうっ……して……ですかっ…」

息が上がったまま、整えることさえ許されず、千鶴が聞いた。
その目からは涙が頬を伝って床へと落ちていった。

千鶴を貪ったことで、沖田の黒い感情はなりを潜めていた。一番見たくないはずの
千鶴の泣き顔をみて、代わりに沸き上がってきたのは、男としての、欲。

「………千鶴ちゃんは僕を見てくれない」

顔を近づけ、千鶴の熱を持っている唇にわずかに触れながら呟いた。
口をついて出てきた言葉は深く深く部屋にとける。


今度は羽のように優しく口付けた。くちゅ、と吸い付いた音が部屋に響く。

「………君に、見てもらえないことが嫌で、辛くて、焦って……怖い。
 ……こんなに思っているのに君がいつも見ているのはどこか遠くで」


こんな気持ち、千鶴ちゃんにはわからない。






「……私も、……沖田さんに見てもらえない事が……怖いです」

思いもよらない言葉に沖田は唇から離れ、はじかれたように顔を上げる。

「……私は……貴方が、好き、です」

唐突の告白に言葉が出ずに、動けない。

「沖田さんのことが……好きで、す」

なおも泣きながら、熱のこもった声で千鶴が繰り返す。


「あいして………いま、す」



その言葉がただ僕を止めるためだけの物だったとしても。
その言葉はなんと甘く響いた事だろう。
あとはもう、止まることなんて無理だった。

「抱くよ?」

それは確認ではなく、沖田の決意。
千鶴は一瞬小さく目を見開いた。が、すぐに熱に浮かされた目で沖田を見つめ、
はっきりと頷いた。

もうほとんどとれかけている髪の組紐をすっとはずす。美しい黒髪はしっとりと
床に広がった。その匂い、柔らかさがさらに沖田の欲情を煽る。

さっきまで押さえつけていた小さな手に確かめるように己の指を絡める。
すると千鶴の小さく細い指が沖田の体温を感じ、わずかに身じろきする。

「――――――怖い?」

甘くかすれた声で耳に囁かれた千鶴がちいさく、ゆっくりと頷く。
いまだ男を知らぬ体をこわばらせ、それでも沖田に預けようとしている。
その目はしっかりと沖田を見つめ、捕らえていた。

「大丈夫、優しくしてあげるから。ね?」

千鶴を安心させようとその額に口付けを落とす。
その言葉と行為によって千鶴の顔が一段と濃く朱に染まる。


「どうする?自分で脱ぐ?それとも僕に脱がせてほしい?」

余裕を取り戻した沖田が小さく微笑みながら聞く。
そんな質問、答えられないと言うように千鶴が左右に首を振る。

初めて他人に体を任せようとしている少女に自分で脱がせるなどどいう野暮な事を
するつもりは毛頭ない。
それがわかっていてあえて聞く。

「それじゃわかんないよ。いわないと。」

千鶴の首元に顔を寄せ、喉をそっと舐め上げる。
すると、びくっと震え小さな息が漏れる。
初々しいその反応に沖田はある種の快感を覚え、背筋がぞくぞくと震えるのを感じた。

もっと攻め上げてやろうと、舌を耳の裏から、目尻、首筋、鎖骨………と
だんだんと上から下へ丁寧に舐めていく。そして、着物の下へと沖田が進みかけたとき。

ついに千鶴が耐えきれず、口を開いた。

「沖……田さんに…脱がしてもらいたい……です」
「…わかった」

彼女なりに勇気を振り絞って言った言葉だろう。

沖田はつい早まる気持ちを抑え、ゆっくりと千鶴の腰紐を解いていく。
そして1枚、2枚と千鶴を覆うからをはぎ取って核心へと近づいていく。
寒く冷えた冬の夜だというのに2人の熱は途止まる所を知らずに上がっていくばかり。

最後の1枚を取り去ると、下から現れたのは文字通り、雪のような白い肌。
その清らかで艶やかな様に思わずごくん、と沖田の喉が鳴った。



この少女を自分の色に染め上げたい。
鳴かせて鳴かせて、もう僕の声以外聞こえないようにしてやりたい。
執拗に攻め上げて、体が僕を求めるようにしてやりたい。


そんな狂気とも愛ともつかぬ感情が沖田の中に渦巻く。


そうか―――――……これが“愛”から来る欲望。
僕はこの目の前の少女を犯して手に入れたい。

己の中に長い間潜伏し続けていた気持ちの名前に沖田は気がついた。
――――――………これは『愛』だ。



彼女が愛しい。千鶴が、どうしようもなく、愛しい。



すでに固く硬直している千鶴の胸の赤い蕾に舌を這わす。

「あっ……!」

初めての感覚に図らずも声が上がった。
舌先で転がしてやると、その声は色気を帯び、大きくなる。

されるがままになっている千鶴は下半身が疼くのか、しきりに足を蠢かせている。
沖田を誘っているとしか思えないその卑猥な動きに、沖田自身の下半身が熱く猛る。


しっとりと手になじむ熱をもったふくらみを丁寧に揉みしだくと、千鶴から
甲高い嬌声が断片的に漏れる。

「っ……やぁっ…沖、田さっ……んっ」


片手でひたすらに二つのふくらみに快感を与えながら、首元に顔を埋め、
強く強く吸い上げる。
そして、いくつもいくつも数え切れないほど千鶴の体に赤い花弁を刻み込んでゆく。

「っ……!」


痛みもあるのだろうか、少女は沖田によってもたらされる甘い感覚に必死に耐えていた。
しかし、その様子も沖田をさらに興奮へと駆り立てる物でしかなかく。


「千鶴ちゃん、声、我慢しなくていいよ」


すでに潤んでいる瞳にそう話しかけるといやいやと言うように首を振る。
その顔はすでにいっぱいいっぱいのようで、口をきつく結んでいた。

必死に声を抑えている少女を見て、思い出したように太ももに触れる。

今は太ももの位置でおとなしくしている手が最終的にどこに行き着くのか
悟ったのだろう。大きく目を見開く。

「やっ……!まって…!」
「待たない」

少女の必死の懇願も聞き入れず、足の付け根に向けて綿密に手を滑らせていく。
そうしている間ももう片方の手で赤い蕾を弄ぶ。

「千鶴ちゃん、触ってほしい?」


熱く潤っているであろう箇所の手前でふと手を止める。
手が止まったことに驚いたのか、熱のこもった目で不思議そうに沖田を見上げる。
まるで、どうしたんですか?と続きを期待するように。

待って、と懇願したのは君なのに。
………そんな可愛いことするから、いじめたくなる。

「僕に、触って、ほしい?」

千鶴を追いつめるために再度、ゆっくりと聞いた。

「沖田さっ・・・・」


少女はやはり、困惑の表情を浮かべる。そんな様子に背筋に戦慄が走り、ぞくぞくする。

本当、もっといじめてやりたい。君が壊れるまで。

「・・・・・ねぇ、どうしてほしい?」

そう尋ねつつ、閉じかけている足を押し広げる。
千鶴の奥へと続く箇所はすでに沖田を迎え入れる準備が出来ており、潤っている。


熱く熱を持っている秘部の卑猥な粘着音が部屋に響く。

その音にすぐさま千鶴が耳を手で塞ぐ。
自分の思いが正直に体に出ていることが恥ずかしいのだろう。

千鶴のその反応を見て、沖田が秘部の周りを中指でそっとなぞる。
その行為に、いままでに無いくらい、千鶴の体が跳ねる。


なるほど、千鶴が求めているのはここか。


「……お願いされないと、触ってあげないよ」

執拗に何度も何度もなぞって、焦らす。

千鶴は未だに声を上げることすら、羞恥心から拒んでいる。ただ、体は正直に
してほしいことを指し示す。

「沖田……さん、お願い、しま…」


ついに観念して千鶴が言葉を漏らす。
沖田にもその言葉を待つ余裕は無く、秘部に指を走らせる。

そして、わずかに指先を入り口に埋める。

「ぁっ……!」

千鶴の顔が異物の侵入に痛みで歪む。それでも、沖田を拒むことはせずに
痛みに耐えている。彼女の着ていた着物を強く握る細い指が全てを沖田に伝える。

「ごめんね……でも、慣れたら大丈夫だから」

千鶴の顔を上げて、口づけをし、舌を絡ませる。
すでに息の上がっている千鶴の吐息を全て飲み込みながら、指は千鶴の奥へと
進ませる。

「ぁあっ…!やぁんっ!お、きた、……さんっ」


痛みしかなかった行為が快感へと変わってきたのだろう、千鶴の入り口の締め付けが
だんだんと緩くなってくる。

それと同時に千鶴も声が絶えきれなくなってきたようで。

愛しい女の鳴く声が、こうも沖田を動揺させ、興奮させる。

千鶴の“中”をかき回す指を2本にしようとする……
が、千鶴の声をもっと聞きたい。取り返しがつかないくらい鳴かせたい。という
感情が沖田に生まれ、

指を3本に増やし、千鶴の中に入る。

「やぁあっんっ!まっ……沖……田っさ…あぁっん!」

いきなり広げられる自分の入り口に千鶴は我を忘れ、鳴く。


沖田の手によって乱れる彼女は昼間、日の下で見る彼女とはあまりにかけ離れていた。
あまりの艶めかしさに沖田の表情から理性が消え去っていく。
その声に沖田自身もとっくに限界だった。

千鶴から指を抜き去り、素早く着物を脱ぎ捨て、己のものを露わにする。
熱く猛狂っている自身が、はやく、入りたいと本能のままにせがむ。


「千鶴ちゃん、挿れるよ」

かろうじて残っていた理性でそう話しかけ、返事を待たずに千鶴に自身をあてがった。

「ぁっ……!あっ、んっ!」
「っ…!」


初めて本物に侵入された中は狭く、沖田を引き締める。
意識をつなぎ止めるために、口を合わせ、下を絡ませ。

お互いの呼吸を感じながらつながり、沖田の腰が連動を始める。

「あぁあんっ、沖田さ、、ん!おき、田さっ・・ん!」

理性などとうに残っていない千鶴はただただ、沖田の名前を叫ぶ。
一度抜いて、再び貫く。


満たされていた愛液が床に落ち、染みになり。
最初は緩慢に行われていた動きが次第に速度を増していく。




「………、、沖田っさん、!お・・きたさっんっ!」
「・・・・っつ!千鶴っ・・・ちづ・・る」


そして、何度も同じ事を繰り返し、突然、沖田が千鶴の最も
深いところを勢いよく貫いた。

「ぁ―――……」
「!!……っも、むりっ」

そのとたん、千鶴がぶるりと震え、弓なりに体をしならせた。

いきなり絞めつけられた誇張した沖田の自身は千鶴の中で、果てた。


いままで無理矢理につなぎ止めていた意識が暗く、沈んでいく。

最後に見たのは、愛しい人の弱々しい笑顔だった気がする。




朝、沖田は隣で静かな寝息が聞こえて、目が覚めた。

身体が、気だるい。

男の沖田がこうであるのだから、千鶴はなおさらだろう。

「……手加減できなかったな」

わずかに自分でも昨日の行為を早急に進めすぎたことに対する悔いがある。

昨日の僕は本当に歯止めがきかなかった。それを悔いる。

大事に想う、千鶴を案じて。



「まさかね……」


こんな小娘に狂わせられるなんて。


日の下の、君には絶対に言えないな。









Fin.....


すいませんでした。(平謝)
なんかかいてて調子に乗りました。 すいません。

ですが、反省はしていません(ぉぃ

沖田さんがなかなかの鬼畜っぷり。w
ほんとはもっとあんなことやこんな事をさせるつもりだったのに^^(乙

まぁ、それは次の幹部に任せますw(藁







inserted by FC2 system